日本の青年・学生の心理歴史的研究―ノート その26

46.阿吽の呼吸の叡智  ―「永遠のうそをついてくれ」と「うそをついたことになってしまった」―  かつてのセクトの指導者も同様にタフであるべきと考える。メンバーやシンパに、うそ=虚偽意識としてのイデオロギーを追わせ続けてはならない。指導者はイデオロギーのプロパガンダにだまされ、図らずもうそをついたことになってしまったというべきである…

続きを読むread more

日本の青年・学生の心理歴史的研究―ノート その25

45.「永遠のうそをついてくれ」の唱和―1990年代から― (1)端緒―1970年代半ば、葛飾の高校生サークルで―  私が中島の音楽を意識し始めたのは1974年頃であった。葛飾にあった高校生サークルでは人間としての生き方や社会のあり方など語りあっていたが、その中に中島の大ファンがいて、バッハやベートーベンなどクラシックの大ファンと音…

続きを読むread more

日本の青年・学生の心理歴史的研究―ノート その24

44.「マイ・バック・ページ」   ―ジャーナリストのゲバルトへの協力、反省の加味されたノスタルジックなシンパシー―  川本三郎は「もっとも濃厚に『都市の感受性』を背負った作家」として、村上春樹の方が村上龍よりも「より強く背後に『都市の感受性』を持っている」と評した(「『都市』の中の作家たち―村上春樹と村上龍をめぐって―」。初出は『…

続きを読むread more

日本の青年・学生の心理歴史的研究―ノート その23

48.絡みあうタナトスとエロス   ―村上春樹『ノルウェイの森』に即して1960-80年代を重層的に考える― (1)1969年―「百パーセント・リアリズム」  先にノート38で新左翼・全共闘における「暴力とエロティシズム」の複合について論じた。公然と暴力を行使できるようになれば性の規範など顧みなくなる。これについて、1987年…

続きを読むread more

日本の青年・学生の心理歴史的研究―ノート その22

42.「挫折」後の分岐―知識人の無節操、「しらけ」、タナトス (1)区切りのつかないじり貧―肝心な「落城」敗北宣言=「総括」の回避  全共闘は「暴力反対」は「ブルジョワ・ヒューマニズム=飼い馴らされた思想に過ぎない」と断定し、ガンディーの「ハンスト」などの「非暴力」を「抑圧の暴力に抵抗する暴力」と強弁していた(『砦の上にわれらの…

続きを読むread more

日本の青年・学生の心理歴史的研究―ノート その21

41.日本共産党・民青のゲバルト部隊  神山が「暁部隊」と表現した日本共産党・民青のゲバルト部隊について述べる。  宮崎は「早稲田大学レーニン班」と書いている(『突破者外伝―私が生きた70年と戦後共同体』祥伝社、2014年、pp.85-87)。神水は「小説」として「都学連の精鋭のゲバルト部隊」、「あかつき戦闘隊」、「民主派の行動…

続きを読むread more

日本の青年・学生の心理歴史的研究―ノート その20補註

補註―中国共産党と日本軍の内通の歴史を踏まえて神山の記録を熟考・推論する―  戦中、毛沢東・中国共産党と日本軍は内通していた(これについては小著『慰安婦と兵士の愛と死―限界状況において絡み合うエロスとタナトスの心理歴史的研究』秋田平和学習センター、2020年で論じた)。蒋介石・国民党は共通の敵であり、それを支援する米軍と日本軍は戦…

続きを読むread more

日本の青年・学生の心理歴史的研究―ノート その20

40.駒場第八本館闘争  本郷の安田講堂「籠城」に並行して、1968年12月から69年1月まで「東大駒場第八本館闘争」があった(神山睦美『日々、フェイスブック』澪標、2016年、pp.102-114。以下、神山の記録は同様)。先述した「大晦日のパーティー」は、その間に催された。神山も「バリケードのなかにはけっこう日常的な風景という…

続きを読むread more

日本の青年・学生の心理歴史的研究―ノート 32の加筆修正

32.米ソ冷戦、中ソ対立、中国共産党と日本共産党の対立における東大闘争 (1)新左翼・日本共産党・体制の相互作用  新左翼・全共闘の安田講堂「籠城」は、東大が正常化されていないことの証明であった。マルクス・レーニン主義や毛沢東主義では、階級闘争が激化し、階級的意識が高まり、支配・搾取への抗議が広がり、統制が弱まった部分で混乱…

続きを読むread more

日本の青年・学生の心理歴史的研究―ノート その19 続・三島の「聲」に耳を澄ます

(5)1960年代後半-70年代初の心理社会的クライシスへの闘いとして  戦後の復興を果たし、高度経済成長も進めたが、日米安保体制の不完全な独立と裏腹の米国依存の平和主義(所謂「平和ぼけ」)、物質的な豊かさによる惑溺・頽廃(3S政略と「無責任」、「瘋癲/フーテン」、「破廉恥/ハレンチ」などの流行)、それに伴う偽善・欺瞞、また台頭す…

続きを読むread more

日本の青年・学生の心理歴史的研究―ノート その18

36.求められる総括  佐々は「挫折した東大全共闘は安田講堂事件の総括をきちんとしていない」と指摘した(『東大落城』p.18)。この出版は1993年で、文庫化は1996年であった。それから十年後、ようやく島泰三が佐々に対して反論し、総括を試みた(『安田講堂1968-1969』中央公論新社、2005年、p.ⅰ)。彼は最後まで安田講堂…

続きを読むread more

日本の青年・学生の心理歴史的研究―ノート その17

35.教員の問題 (1)序  田畑書店編集部は『私はこう考える―東大闘争・教官の発言』を1969年に刊行した。全共闘系の教員が多く、日本共産党・民青系はいないと見なす。持田栄一(「東大闘争と大学革新」を寄稿)は日本共産党系の多い教育学部の中で全共闘への共感を示したが、それ以上にはならなかった。「なぜいま授業再開を拒否するか」…

続きを読むread more

日本の青年・学生の心理歴史的研究―閑話休題―小熊『1968』について―「枕にいい」、「よくやるよ」

 小ノートで取りあげている文献の他に、以下に目を通した。通読してはいない(発行年順)。 ・日本大学文理学部闘争委員会書記局編『叛逆のバリケード』文理学部闘争委員会、1968年 ・東大闘争全学共闘会議編『砦の上にわれらの世界を―ドキュメント東大闘争』亜紀書房、1969 年 ・東大闘争全学共闘会議編『果てしなき進撃』三一書房、1969…

続きを読むread more

日本の青年・学生の心理歴史的研究―ノート その16

35.公開自主講座「公害原論」の展開 (1)大学拡張/開放、自己教育としての社会教育  公開自主講座は大学拡張/開放の実践で市民にも影響を広げた。前後して、学生運動を経験した者たちが社会に出て発言・行動するようになった。そして各地で、深刻化する公害に対する市民運動がいくつも起きた。  公害反対運動は物質的な環境汚染に対する…

続きを読むread more

日本の青年・学生の心理歴史的研究―ノート その15

34.学生より年長の「大学解体」論への問 (1)院生  院生は大学を卒業しもなお大学に残っており、「大学解体」は学生よりも一層鋭く問われる。人文社会系では多くが大学の教員を(却って民間企業の就職は極めて困難)、理・医系では大学の他に研究機関を目指すが、いずれにせよ「官産学協同」で大学は全否定できない。  これまでの調査研究…

続きを読むread more

日本の青年・学生の心理歴史的研究―ノート その14

32.学生運動の「天王山」、安田講堂「攻防戦」と神田カルチエラタン闘争   ―「造反有理」、「革命無罪」と組織的に繰り返された殺人未遂―  学生運動の「天王山」と称される安田講堂「攻防戦」では、大学当局から要請を受けた警視庁機動隊が新左翼・全共闘の活動家を制圧し、バリケード封鎖を解除した。謂わば学生運動の「本丸」が「落城」し、こ…

続きを読むread more

日本の青年・学生の心理歴史的研究―ノート その13

29.「大学解体」の先駆  前掲『矢内原忠雄―私の歩んできた道―人間の記録⑨』pp.197-198  まだ戦後間もないころ、昭和二十三年であったと思うが、私が経済学部長をしていた時、一人の学生が私を「君」とよんだという事件が世間に伝えられている。これは教師に対して礼を失した話としてひろまっているが、事実はそんな簡単なことでは…

続きを読むread more

日本の青年・学生の心理歴史的研究―ノート その12

(4)ベトナム反戦平和運動、軍産学協同、大学解体  東大闘争では「産学協同」、「産官学協同」、「軍産学協同」も批判された。そこには東大の学問・研究によるベトナム戦争への加担への罪責感があり、それが「帝大解体」の要因の一つになった。「産学/産官学/軍産学産学協同)粉砕!」のスローガンはその象徴であった。七〇年代前半まで叫ばれ、私はし…

続きを読むread more

慰安婦と兵士の愛と死―限界状況において絡み合うエロスとタナトスの心理歴史的研究―のご教示に感謝して

 7月2日に掲載したブログ 慰安婦と兵士の愛と死―限界状況において絡み合うエロスとタナトスの心理歴史的研究―初版(2020/7/1) https://masazrabk.at.webry.info/202007/article_2.html について、いくつかのご意見、ご教示があった。  感謝して、付言させていただく。  昨年…

続きを読むread more

日本の青年・学生の心理歴史的研究―ノート その11

(2)騙され、誤らせたノーベル賞クラスの知性  マクロ経済学を確立したジョン・メイナード・ケインズが指導した若手研究者集団ケインズ・サーカスの一人で、ノーベル経済学賞の候補者に幾度もなったジョーン・ロビンソンまで中国共産党と毛沢東を賞賛した程であるから、今井たちが「信じ従」ったのは無理もない。確かにロビンソンが中国を批判していると…

続きを読むread more

日本の青年・学生の心理歴史的研究―ノート その10

28.「世界革命」における東大闘争 (1)利用された思春期の素直さ、一途さ  文革期、中国共産党は「造反有理」、「革命無罪」と「革命」を大義に掲げ、それを「世界革命」として展開した。これにより、革命のためには手段を選ばないイデオロギーや風潮が国際的に広がった。  その中で日本は多大な影響を受けた。新左翼・全共闘は直接的で、…

続きを読むread more

日本の青年・学生の心理歴史的研究―ノート その9

27.東大闘争―もう一つの歴史(another history)として―  東大闘争に関しては全共闘系の文献は多い。一方、日本共産党・民青系は極めて少ない。中心的な活動家の多くは「新日和見主義」として粛清され、これ事態が党史から排除されているからである。ここでは、それらとは異なるもう一つの歴史(another history)とし…

続きを読むread more

日本の青年・学生の心理歴史的研究―ノート その8

22.高度経済成長、公共投資、地域開発、社会資本  1960年の「所得倍増」政策(池田勇人内閣)は高度経済成長を加速させ、「ベトナム特需」による年率10%の経済成長により“日本はベトナム戦争で唯一の勝者”とさえ称された。これによる資本の蓄積、その鉄鋼、重化学、電力、機械などの基幹産業への投資、1962年の「全国総合開発計画」、69…

続きを読むread more

日本の青年・学生の心理歴史的研究―ノート その7

16.「特需」への問題意識と戦争責任の追及  朝鮮戦争の「朝鮮特需」、そして、ベトナム戦争の「ベトナム特需」について、多少は戦争の現実を知り、自国の高度経済成長を考えるならば、他国での巨大な流血で自分たちが豊かになったことを反省せざるを得ない。これは、それ以前の世界大戦についても及ぶ。  しかし、青年であれば、自分たちは戦争を起…

続きを読むread more

日本の青年・学生の心理歴史的研究―ノート その6

12.矢内原三原則(昨日のノートに加筆修正)  私は藤田に「矢内原三原則」について自治会はどのように考えていたのかと質問した。藤田は次のように答えた。  それは全く考えていなかった。確かに、ストライキの決議を代議員大会で、①提出したものは退学、②議題として受理した議長は退学、③実行した自治会委員長は退学ということは意識してい…

続きを読むread more

近代日本の青年・学生の心理歴史的研究―ノート その5

9.青年団の衰退  朝鮮戦争は「特需」をもたらし、経済は復興から成長への段階に進んだ。経済成長とは裏腹に青年団は衰退し始めた。経済成長は社会の都市化を進め、農村は過疎化し、青年団を構成する青年そのものが減少した。だが、問題は人口の次元に止まらず、心理社会的に検討しなければならない。  1955年、石原慎太郎の『太陽の季節』は広く…

続きを読むread more

近代日本の青年・学生の心理歴史的研究―ノート その4

(3)共同学習と「生活綴り方」や「概念くだき」 ①学校教育と社会教育の共同  当時、学校教育と社会教育の関係は密接で、夜、公民館で志のある教師は、仕事を終えて公民館に集う青年たちと語りあい、それを学習会へと進/勧めるなど実践していた。児童・生徒が教師の自宅に集うことも多く、それを通した人格形成を、下村は『次郎物語』で描いた。…

続きを読むread more

近代日本の青年・学生の心理歴史的研究―ノート その3

8.復興から経済成長へ (1)毛沢東主義的な山村工作隊の失敗  東西の冷戦において、1950年6月25日に局地戦・朝鮮戦争が勃発した。国内ではレッドパージが強まり、これに対して日本共産党は地下活動の部分で武装闘争(山村工作隊など)を進めた。だが、それはほとんど農山村の青年団に影響を及ぼさなかった。  山村工作隊は、…

続きを読むread more

近代日本の青年・学生の心理歴史的研究―ノート その2

7.終戦/敗戦からの復興 (1)「青」と「歌声」  戦争の反省に伴い年長世代の権威が低落する一方、青年の心理社会的な勢いが強まった。青年の「青」が広く歌われた。  戦後初、1945(昭和20)年10月11日 に公開された松竹映画「そよ風」のイメージソング「リンゴの唄」はヒットした。その歌詞 ♫赤いリンゴに/くちびる寄せて/…

続きを読むread more

近代日本の青年・学生の心理歴史的な研究ノート その1

近代日本の青年・学生の心理歴史的な研究ノート ―世代的アイデンティティと世代のサイクルに自己分析を交叉させて― Ⅰ 概観  日本の青年・学生の世代的な特質について概観する。細部は合わない点があろうが、巨視的に考える。  世代は時代の所産であることから、この考察は『アイデンティティと時代』(…

続きを読むread more