吉野孝公『騰越玉砕記』を読む:『慰安婦と兵士の愛と死』のさらなる増補改訂に向けて―補記

1.
 丸山は「この戦記の反響をかれはつゆだに計算しないが、玉砕という二字の内側で人間が最高に人間であった記録として、読者の胸に深く感動の釘を打ちこむことは必定である。しかし、そういう意味づけをおしつけないところに吉野戦記の真骨頂がある」と結ぶ(p.3)。
2.
 吉野は脱出の中で地元の「老人」や「老婆と若い女」に二度も助けられた(pp.98-104)。彼は負傷と疲労で立ちあがれず、這って移動し、気が緩むと意識を失うような状態であったから、「老人」や「老婆と若い女」でも容易に彼を拘束できたが、そうせず、むしろ食料を提供した。日本軍への民間人の評価の一例と言える。辺境の農民にとって、国民党軍はよそから来た軍隊で、日本軍と大して変わらなかった。国民党軍は軍役や税として徴兵・徴発するだけだったが、日本軍は徴兵せず、また物品には、軍票の場合もあったが、支払った。慰安婦を集めたのは、直接的には、中国人による「維持会」であった。そして、軍紀や治安がましであったのは日本軍であった(調査の合間の雑談から)。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント