テーマ:文学的リアリティ

慰安婦と兵士―愛と死―千鳥と柳―伊藤桂一の戦場文学から

 伊藤は苛烈な軍隊において尚、或いはだからこそ、人情で結ばれていた絆を静謐に叙述している。「文は人なり」で、そこには人情味が表れている。これは美化ではない。戦後、数多くの戦友会が誕生し、記憶を語りあったことに符合しているからである。  伊藤は「水の琴」と「微風の岸」で、静謐な愛惜・哀惜を以て朝鮮人慰安婦と日本兵の性愛を描いている(ここ…

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限界状況におけるアイデンティティ・クライシスの心理歴史的研究 ―慰安婦と兵士の愛と死へのアプローチ―第5章第1節

第五章 田村の文学世界における慰安婦と兵士の愛と死 第一節 予備的考察 第一項 歴史と文学―史実と文学的リアリティ―  小説や詩などの文学作品は創作であり、その中に事実が記述されていても、虚構(フィクション)が組み入れられている。それ故、実証の根拠にはできないが、作家や詩人が鋭敏な感性で描き出す、実証し難い深層に秘めら…

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